掲載日 2025年7月30日

ふれあいサービス協力会員として約10年間活動し、ゴミ出しを中心に様々な家庭のお手伝いをしている鈴木隆彦さん。活動を始めたきっかけや活動を通じた変化などをお話しいただきました。
ふれあいサービスの活動を始めたきっかけを教えてください。
うちの親と同じようにお手伝いができたらいい
ふれあいサービスの活動を始めたのは約10年前です。
それまでは朝から晩まで働き詰めで仕事ばかり。地域の方とのふれあいはまったくなかったのですが、ちょうど仕事をリタイアした頃に声がかかり、まずは消防団に入団しました。
そこで友達になった方がボランティアに関する情報をたくさん持っていて、「ふれあいサービスの講習があるから一緒に受けませんか」と誘われたのがきっかけです。(※)
講習に参加してみると、いろいろと不自由があって困っているお年寄りが近所に増えてきていると聞いて、だったらうちの親と同じようにお手伝いができたらいいなと思い、活動を始めました。
ふれあいサービスの活動内容を教えてください。
ゴミ出しのお手伝いを通じた見守り
最初に依頼があったのは、近所の高齢の方のゴミ出しの活動です。
その方は足が不自由で、杖をつきながらゴミを集積所まで持っていくのが難しいということで、ゴミ出しのお手伝いをすることになりました。
可燃ゴミの日の朝にご自宅を訪問して、あらかじめまとめてあるゴミを預かり、集積所まで持っていきます。
最初にお手伝いをしてからずっと活動が続いていて、もう10年になります。
その間に他の活動もあり、高齢の方や視力に障害のある方など、様々なお手伝いをさせていただきました。
ゴミ出しの活動ではありますが、見守りがメインだと聞いていたので、そこは気をつけています。
決まった時間にゴミが出ていないと不安になって、すぐに社協に連絡しています。
以前は他人のことなんて考えていなかったのに、今では自分の家族を心配するような気持ちで利用会員さんのことを心配しています。

ゴミの日の朝に利用会員さんのお宅を訪問

お預かりしたゴミを集積所まで持っていきます
最初は不安だった、障害のあるお子さんとの関わり
夏休みの期間中は、自閉症の小学生のお子さんの見守りもしています。
お母さんが出かけてから施設のお迎えの方が来るまでの間、ご自宅で一緒に過ごしています。
自閉症は症状が様々なので、活動を始めるときはすごく不安でした。
変に声をかけるとパニックが起こると聞いたので、本を読んだり自分の勉強をしながらチラチラ見て、とにかく言われた通りにやりました。
だけど1日一緒にいたら、なんだかすごく好かれてしまって。
お子さんが「鈴木さんがいい」と言ってくれているようで、2年ほど続けています。
実は活動を始める前は、障害のある方を、むしろ差別的な考え方で見ていました。
でも実際に活動してみると、自分だって困ることはあるわけだから、困ったときは手伝ってもらったら嬉しいよねと思うようになって。今までとは考え方が180度変わりました。
他には地域でどのような活動をしていますか。
活動があるからしっかりしなくてはと思える
地域活動のきっかけになった消防団は引退して、今は災害時支援ボランティアとして活動しています。
普段は消火器の使い方や心肺蘇生の指導をして、災害時には消防隊の後方支援を行います。
また町会では副会長をしていて、防災と防犯の責任者になっています。
社協では地区サポーターに登録していて、最近まで視覚障害のある方の外出のサポートをしていました。
ふれあいサービスをはじめ様々な活動があることで、自分の生活のリズムが保てています。
私自身がもう70歳で高齢と言われる年齢ですが、活動があるからしっかりしないといけない、自分がやらなくては、と思えています。
地域活動に飛び込んでみようと思った理由を教えてください。
地元に恩返しがしたい
私は今住んでいる場所で生まれ育ちました。
もともとは地元の農家だったので、子どもの頃は、ずっと農業をやって家にいると思っていました。
ところが開発が進んで農業がままならなくなり、他の仕事を探すことになりました。
高校のときは社会福祉サークルのようなものに所属し、近所の福祉施設を訪問して、実際にサポートをしていました。そこから福祉に興味を持つようになりました。
でも実際に自分がお金を稼いで家族を養わなければならないとなると、これでは難しいと思い、大学を卒業する頃にはいろいろな道で悩みましたが、建築関係の仕事に就きました。
そのような経験があったので、仕事をリタイアして地域活動の声がかかったとき、地元に恩返しをしたいという気持ちから、やってみようと思いました。
全部自分の社会勉強
ずっと仕事をしていて会社の中で高い役職に就いていたりすると、ボランティアを始めても上から目線にしか見えないような態度を取って、周りの人が引いてしまうことがあります。
私も最初の頃、結構そういうところがあったんです。誰かがやってくれるという気持ちがあったのかもしれません。
活動を始めて10年になりますが、10年経って、やっとちゃんとわかってきた気がします。
今は講習があればなるべく参加して、ステップアップを図っています。
講習で学んだことも、実際にやってみると気付くことがたくさんあって、初めて車いすでの外出をお手伝いしたときは「あそこは気をつけないといけなかった」と後から反省することもありました。
また違う地域で活動している方のお話を聞くのも勉強になります。
同じ世田谷でこんなに頑張っている人がいるんだと、こちらも励みになります。
全部自分の社会勉強ですね。

活動についてお話する鈴木さん
地域活動の魅力を教えてください。
つながりができれば自分も孤立しない
いろいろな方とふれあえて、新しいつながりができるところです。そうすれば、自分も孤立しない。
一人でも多くつながっていれば、自分が困ったときも、きっと誰かが助けてくれる。
まちの中でひとりでも顔のつながった関係を作ることができれば、福祉も自然についてくると思います。
- 現在は、地域または地区の窓口で協力会員の登録が可能です。詳しくはお問合せください。